イエロートレインのマロネロ38(Nゲージ)を作る
この記事はWMMC Advent Calender 2020の19日目の記事です。
昨日の記事は先輩のA.T.氏の
【HAL?クソでは?】STM32マイコンをレジスタ操作で動かす【WMMC ADC 2020 19日目 その1】 – 茱萸note
HAL頼りでレジスタ手打ちで何かをいじったことが無い方は、ぜひご参照を。
先輩には、是非趣味についても語っていただきたかった。
さて私は何を書こうかと考えた時、皆様の記事を見ると、ものづくりをしている記事が非常に多いことが分かった。そういえば弊団体は、鉄道に造詣の深い方々も多いとか。それなので私は鉄道模型の金属キットの製作記(半年以上前)を、今回の記事とさせていただく。
概要
今回組み立てるのはイエロートレイン製のマロネロ38キット(Nゲージ)。マロネロ38という客車は、昭和11年から製造がはじまり、昭和41年までには廃車された言わば古い客車。何でこんなものを作ったかというと、ただ旧客が好きだから。
イエロートレイン様のHPはこちらから↓
イエロートレインへようこそ - yellow-train 鉄道模型工房&直売店(イエロートレイン)
今回組み立てたイエロートレインの製品には組み立て説明書は2枚ついていて、1枚は図付きの大変丁寧なものである。これのお陰で、金属キット初心者の私でも容易に製作することが出来た。
またマロネロ38についてはアルモデルも生産しているため、お好みでこちらの製品を購入するのも手である。アルモデルのページは内装や完成品写真もあるので、数少ない資料としても活用できる。
使用部品
今回は以下の部品を使用した
114 オハ35(屋根、妻板、デッキ部側板、床板)
70-3 ガーランドベンチレーター
8592 客車用床下機器セットA
8633 集電非対応車輪(黒)
KATO
Z01-0042 カプラースプリング
キングスホビー
TR73(台車)
アルモデル
K4003 大型転換クロスシート
K4015 戦前形ロネ用寝台
このうちキングスホビーの製品は現在アルモデルが販売を行っている。またカプラーはストックから調達した。ない場合は、単品をどっかから手配する必要がある。
塗料
今回は戦後のマロネロ38、車体色はぶどう2号、等級帯が淡青色の昭和34年から36年ごろの時代設定とした。缶スプレーとエアブラシを適宜使い分けた。
車体色 GM2 ぶどう色2号
屋根色 GM35 ダークグレー
ベンチレーター GM9 ねずみ1号
床下 GM10 黒色
車体組み立て
まずは使う部品を中性洗剤で洗う。
続いて側板Aと内張Bをランナーから切り離し、やすりでバリを取る。
続いて内張Bの爪をこてで内側に折り曲げる。これは床板との接合部となる。
そして側板Aと内張Bを、瞬間接着剤で固定する。しかし外側に染み出して白くなることを恐れて、接着剤の使用量を減らした結果、工程の後半で隙間ができ始めてしまった。接着はしっかりしよう。
そしてあらかじめ側板から切断したオハ35のデッキ部と先ほど作った側板を、現物合わせで瞬間接着剤で接着する。デッキ部は内側に曲がっているので、金属の雨どいを慎重にデッキ部に沿って曲げる。そうしたら側板が曲がらないうちに、側板裏の幕板部と腰板部に補強を兼ねたスペーサーを爪をよけて接着する。製品で指定された0.5mm厚のプラ板では厚すぎたので、0.2mmプラ板を選択した。
この時屋根と出来上がった側板の長さを比較しておく。微妙に部品寸法が合わないことがよくあるので、現物合わせはかかせない。
また今回は屋根とベンチレーターの色を変えるので、ベンチレーターの接着は塗装後になる。
屋根、床板、妻板、側板で仮組をする。案の定屋根が床板に対して若干長い。そのため床板を少々削りつつ、妻板と屋根の接着部を外側にして隙間を裏側から瞬間接着剤で埋める。今回は内装も作るため、床板を残して接着する。箱にする。プラスチック同士の接着には、タミヤセメントを用いる。
この写真は既に塗装しているが、塗装前に床下部品や台車と床板の干渉を防ぐためのスペーサーを接着しておく。今回キングスホビーのTR73を使った。そこで製品の指示通りGMの床板の台車をはめる出っ張りを全て削り落とし、プラ板で台車と床板が干渉しないようにネジ止め用のスペーサーを付けた。台車はネジ止めなので、床板に中心線を引き、端部から18mmのところを中心とする直径2mmの穴をハンドドリルで開ける。台車の位置がずれると、脱線や接触事故の元となるので慎重にしたい。
座席や寝台も内張の爪と干渉しない設置場所を仮組の時に、決めておく。
台車組み立て
今回の難所である。KATOのTR73を使うことも考えたが、床板をGMにしているので集電ピンが干渉する。そこで今回はキングスホビーの台車キットを使うことにした。これがカプラーポケット1両分。ランナーから切り離した後、爪なりラジオペンチなりで曲げて蓋の空いた箱をつくる。中々上手く箱が作れず試行錯誤した結果、曲がる部分が疲労破壊してしまった。一回曲げたら強度上元に戻せないと考えた方が良い。
曲げた後にはんだ付けをして強度を持たせる。その後できたポケットにスプリングとカプラーを入れる。これでカプラー部分は完成だ。
こちらは台枠部分の完成後である。スペーサーから切り離した後、軸受けのある側板と、床板に面する部分を同封のM2ネジで4か所ゆがみのないように止める。これが地獄であった。部品のネジ穴が小さく、マグネットが付いたドライバーを購入しても中々ネジがはまらない。さらにはまってもゆがみがあると、軸受けと車輪が干渉して上手く転がらない。この他にも床板と台車の干渉やこの調整に2日を要した。
そしてカプラー部の爪を台車にひっかけて閉じるようにすれば、カプラー付きの台車ができあがる。この時完全に曲げる前に、既製品と比べて高さやカプラー自身の遊びを確認しないと、他の車両と連結できなかったり、脱線頻発の車両が生まれてしまう。
塗装
塗装前には下処理する必要がある。これは部品についている薬品や皮脂、錆などを落として、塗装が乗りやすいようにする重要な作業だ。この工程を丁寧に行わないと、塗膜がはがれる、塗料が乗らないなどの悲惨な結末を迎えることになる。
プラスチック部分は中性洗剤で磨くだけでいい。問題は金属部分で、今回は側板と台枠だ。
- 容器を用意して、その中に部品を入れる。
- サンポールをかけて、そのまま水に浸して15分ぐらい放置する。
- それらを捨てて、金属部品に液体クレンザーをかけて、歯ブラシで丁寧に磨く。
- 水でクレンザーを洗い落して光沢が出ていたら3は成功
- 続いて中性洗剤をかけたあと水に浸して15分放置
- 引き上げた後、水をかけつつ歯ブラシで磨いて洗い落とす
- 水分を残さないよう、しっかり乾燥させる
- 洗浄後はなるべく早く下地塗りとして、プライマーを吹く
下処理が終わったらいよいよ塗装。今回はエアブラシと缶スプレーを併用した。
エアブラシで人生初めての塗装である。しかしトラブル続出で上手くいかない。
塗料が出ない→薄め液だけ垂れる→塗料が薄いの繰り返し。慣れるしかなさそうだ。
車体は薄く明るい色から塗る。今回はまず2等帯の伊豆急ハワイアンブルーを全体に吹きかける。その後、帯として残したいところのみ細くカットされたマスキングテープを貼る。屋根にもマスキングして、車体にぶどう2号を吹く。
台車も塗装。台枠の外側のモールドだけプラスチックなので、金属部分とは別々に塗装。ウーンこれはまぎれもなくTR73だ。
さらに座席や寝台も塗装する。2等車のため、赤で塗装する。確信は持てないが。
そしてやってくる楽しい()インレタ貼りの時間。資料写真を見ながら、等級と寝台の文字を入れていく。肝心の車番だが、どこを探してもマロネロ38のインレタの在庫がない。インレタ特注もできるが、資金の関係から今回は車番貼り付けは見送ることにした。インレタを貼ったらすぐにトップコートを吹く。これで塗膜やインレタの上にトップコートが乗ることで、傷がつきにくくなる。
接合
塗装後に台車のプラと金属部分を接着、車輪もはめる。台車に車輪をはめるときに注意すべきことは車輪の絶縁の向きだ。GMの場合、片側の車輪だけが絶縁されているが、その見分け方は車軸のところに樹脂が入っていて凹んでいるか。樹脂が入っているほうが絶縁側だから、同じ台車では向きが揃うように車輪を入れる必要がある。前後の台車では絶縁方向を逆にしなければならないが、上の写真で行けば、左側の台車の上、右側の台車の下側の車輪が絶縁になるようにする。製作者はこれを忘れていて、無頓着に車輪をつけて機関車に牽かせた結果、ショート回路を作って機関車が走らないという事態を引き起こした。
窓代わりの細長いアクリルシートを貼る。これはGMの客車キットに必ず入っているので、そこから持ってくる。トイレの曇りガラスを再現したシートも入っているので、社内見取り図や写真を見ながら、普通の窓にはアクリルシート、トイレには曇りガラス、窓が埋められているところにはプラ板を、木工ボンドでとめていく。強調したのは、今回瞬間接着剤ばかり使っていたので、うっかり窓も瞬間接着剤で最初とめた。すると気化したものがアクリルに付着し、アクリルが白くにごったようになってしまったため。木工ボンドならそういうことはないし、乾くと透明になるので、これを使おう。
ベンチレーターや妻板の幌も、同様に木工ボンドでとめる。
(一応)完成
という訳でマロネロ38が一応完成した。車番インレタは現在も在庫が見つかっていないので、一応ということにしておく。
右は今回作った車両、左はMODEMOのスロ33。一応他社の既製品とつないでも違和感は少ないと思っている。
KATOのC59とつないでみた。実車は50年以上前に無くなっているが、いつでも復活させられるのが、模型の強み。あまり知名度が高くない車両だったので、ネットには製作した記事も少なく、今回アドベントに投稿するにはちょうどいい車両だったと思う。
以下余談
明日はめってるさんが記事を書くらしい。期待して待とう。